相続税15問

相続税に関するよくある質問

弁護士監修のもと、相続税に関する15問の質問と回答を整理しました。

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相続税には基礎控除があり、これを超える遺産に対してのみ課税されます。計算式は、3000万円+600万円×法定相続人の数です。法定相続人が配偶者と子2人なら、3000万円+1800万円=4800万円が基礎控除額となります。遺産総額がこの金額以下であれば、原則として相続税の申告も納税も不要です。2015年の基礎控除引下げ前は、5000万円+1000万円×法定相続人の数でしたが、現在は4割ほど縮小されており、課税対象者が大きく増えました。全国ベースでは約9パーセント、都市部ではそれ以上の被相続人の遺産が相続税の対象となっています。自宅と預金だけでも課税ラインに達する家庭は珍しくありません。

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第一段階として、遺産総額を評価額ベースで算出します。現金・預金・不動産(路線価または倍率方式)・有価証券・生命保険金(非課税枠控除後)・死亡退職金(非課税枠控除後)などを合計し、債務・葬式費用を差し引きます。第二段階として、相続開始前7年以内の生前贈与を加算し、基礎控除を差し引いて課税遺産総額を求めます。第三段階として、課税遺産総額を法定相続分で按分し、各人ごとに税率を適用して相続税の総額を計算します。第四段階として、総額を実際の取得割合で各相続人に振り分け、第五段階として、配偶者の税額軽減などの税額控除を適用して最終的な納付税額を確定します。

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相続税は超過累進税率で、各相続人の法定相続分に対応する取得金額に対して、段階的に高い税率が適用されます。1000万円以下は10パーセント、3000万円以下は15パーセント、5000万円以下は20パーセント、1億円以下は30パーセント、2億円以下は40パーセント、3億円以下は45パーセント、6億円以下は50パーセント、6億円超は55パーセントです。各段階ごとに控除額が設定されており、正式な計算は税率を乗じた後に控除額を差し引きます。重要なのは、遺産総額にそのまま最高税率が適用されるわけではないという点です。

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配偶者の税額軽減は、被相続人の配偶者に対する極めて大きな税制優遇です。配偶者が取得した遺産のうち、法定相続分または1億6000万円のいずれか大きい金額までは、相続税がかかりません。適用を受けるためには、相続税の申告書を期限内に提出することが必要です。結果的に税額がゼロだからといって申告しないと、この特例自体が適用されません。また、全財産を配偶者が取得すれば一次相続の税額はゼロでも、配偶者自身の固有財産と合算して二次相続で重く課税される可能性があるため、一次・二次を通じた最適化が重要です。

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被相続人の自宅・事業用地・貸付用地について、一定の要件を満たせば土地の評価額を大幅に減額できる制度です。自宅の土地(特定居住用宅地等)は、330平方メートルまでの部分について80パーセント減、事業用地(特定事業用宅地等)は、400平方メートルまで80パーセント減、貸付事業用宅地等は、200平方メートルまで50パーセント減となります。自宅の場合、配偶者が取得するか、同居親族が取得して申告期限まで居住・保有するか、別居でかつ持ち家のない親族(いわゆる家なき子)が取得するなどの要件があります。適用を誤ると特例が否認され、追徴課税の対象になるため、専門家との慎重な検討が必要です。

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生命保険金については、法定相続人1人あたり500万円の非課税枠が設けられています。たとえば法定相続人が3人であれば、1500万円までの保険金が非課税となります。ただし、この非課税枠を利用できるのは法定相続人に限られ、相続放棄した人や法定相続人でない人が受け取る保険金には適用されません。相続人が複数人で保険金を受け取った場合、非課税枠は各相続人が受け取った保険金の割合に応じて按分されます。生命保険金は受取人固有の財産であり遺産分割の対象外、かつこの非課税枠があるため、相続税の納税資金準備や、特定の相続人に現金を確実に残す手段として非常に有効です。

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はい、死亡退職金にも生命保険金と同様、法定相続人1人あたり500万円の非課税枠があります。被相続人の死亡後3年以内に支給が確定した退職手当金等が対象です。死亡退職金は「みなし相続財産」として相続税の課税対象となりますが、非課税枠を適用することで課税額を抑えられます。弔慰金は原則として非課税ですが、業務上の死亡の場合は死亡時の普通給与の3年分、業務外の死亡の場合は6か月分を超える部分は退職金と同様に扱われます。生命保険金の非課税枠と死亡退職金の非課税枠は別枠で、それぞれ独立して計算できるため、両方を備えておくことで合計の非課税額を大きくできます。

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相続税の申告期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内です。たとえば1月15日に死亡を知った場合、翌年11月15日が申告期限となります。納付期限も同じく10か月以内で、原則として現金一括納付です。期限までに遺産分割協議がまとまらない場合は、法定相続分で相続したものとして仮の申告を行い、後日、分割が確定した時点で修正申告または更正の請求を行います。ただし、未分割のまま申告すると、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例が適用できず、一時的に税負担が大きくなります。申告期限から3年以内に分割が整えば、これらの特例を遡って適用可能です。

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相続税は原則として現金一括納付ですが、一括納付が困難な場合、延納と物納の制度があります。延納は、相続税額が10万円を超え、納期限までに現金納付が困難な理由があり、担保を提供できる場合に、最長20年までの分割払いが認められる制度です。利子税が発生します。物納は、延納によっても納付困難な場合に、不動産・国債・株式などの現物で納付する制度です。物納できる財産には順位があり、国が管理・処分しやすい財産が優先されます。現実的には生命保険金や金融資産で納税資金を準備しておくか、延納で対応するケースが一般的です。

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相続税の申告先は、被相続人の死亡時の住所地を管轄する税務署です。相続人自身の住所地の税務署ではない点に注意が必要です。被相続人が複数の住所を転々としていた場合でも、基準となるのは死亡時点の住所です。相続人が全国に散らばっていても、1つの申告書を相続人全員で共同提出するのが一般的です。提出方法は、税務署窓口への持参、郵送、e-Taxによる電子申告が選べます。提出期限は消印有効ではなく、税務署に到達した日が提出日となるため、郵送の場合は余裕を持った発送が必要です。

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主な必要書類は、被相続人の出生から死亡までの戸籍一式、法定相続情報一覧図(または相続人全員の戸籍謄本)、遺産分割協議書、相続人全員の印鑑証明書、不動産の登記事項証明書・固定資産評価証明書・路線価図、預貯金の残高証明書、有価証券の残高証明書と取引報告書、生命保険金の支払通知書、債務の残高証明書、葬式費用の領収書、3年(改正後は7年)以内の贈与に関する資料などです。財産の種類が多いほど書類の量も膨大になります。特例適用のための書類も漏れなく揃える必要があり、税理士に依頼するのが一般的です。

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未成年者控除は、相続人が18歳未満の場合、18歳に達するまでの年数×10万円が相続税額から控除される制度です。たとえば、相続時10歳の相続人であれば、(18-10)×10万円=80万円が控除されます。障害者控除は、相続人が障害者の場合、85歳に達するまでの年数×10万円(特別障害者は20万円)が控除される制度です。いずれも、控除額がその相続人の相続税額を上回る場合、その扶養義務者である他の相続人の相続税額からも控除できる点が特徴です。

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10年以内に続けて相続が発生した場合、前回の相続で課税された相続税の一部を、今回の相続税から控除できる制度です。短期間に複数回の相続税を課すと税負担が過重になることを考慮した制度で、経過期間が短いほど控除率が大きくなります。前回の相続から今回の相続までの経過年数に応じて、1年経過ごとに10パーセントずつ控除額が逓減します。たとえば、父が亡くなり相続税を納めた5年後に母が亡くなった場合、父の相続税のうち母が承継した財産に対応する部分の約50パーセントを、母の相続の相続税から控除できます。夫婦間の一次・二次相続の場面で特に重要な制度です。

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2024年以降、相続開始前7年以内(従来は3年以内)に被相続人から受けた贈与は、相続財産に持ち戻して相続税が計算されます。段階的に延長されており、2027年以降の相続から完全に7年が適用されます。加算対象となるのは相続人や受遺者(遺言で財産を受け取る人)への贈与で、相続人でない孫への贈与は原則として加算されません。延長された4年分(従来の3年から追加された部分)については、合計100万円までが加算対象から除外されます。暦年贈与による相続税対策は、従来よりも長い時間軸での計画的な実行が前提となりました。

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60歳以上の親・祖父母から18歳以上の子・孫への贈与について選択できる課税方式で、累計2500万円までは贈与時には課税されず、相続時に相続財産に合算して精算される制度です。2500万円を超える部分には一律20パーセントの贈与税が課され、納付した贈与税は相続税から差し引かれます。2024年からは、この制度にも年110万円の基礎控除が新設され、基礎控除内の贈与は申告不要かつ相続財産への加算も不要となりました。いったん相続時精算課税を選択すると、同じ贈与者からの贈与については暦年課税に戻れない点が重要です。

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