遺留分8問

遺留分に関するよくある質問

弁護士監修のもと、遺留分に関する8問の質問と回答を整理しました。

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遺留分とは、法定相続人の一部に保障された、遺産に対する最低限の取り分です。遺言によって遺産の分配を自由に決められるのが原則ですが、被相続人が全財産を愛人に譲るといった極端な内容にした場合、残された家族の生活が脅かされてしまいます。遺留分制度は、このような事態を防ぐために、一定の相続人が遺言によっても奪われない最低限度の権利を保障するものです。遺留分権利者は、配偶者・子(代襲相続人を含む)・直系尊属で、兄弟姉妹には遺留分はありません。遺留分を侵害する遺言も無効になるわけではなく、侵害された相続人が侵害額の金銭請求(遺留分侵害額請求)を行うことで、実際の権利回復が図られる仕組みです。

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遺留分の総額(全遺留分権利者の合計)は、直系尊属のみが相続人の場合は遺産の3分の1、それ以外の場合は遺産の2分の1です。これを各遺留分権利者の法定相続分で按分したものが、個々人の遺留分となります。たとえば、相続人が配偶者と子2人の場合、全体の遺留分は遺産の2分の1、配偶者の遺留分は2分の1×2分の1=4分の1、子それぞれの遺留分は2分の1×4分の1=8分の1ずつとなります。遺産が8000万円なら、配偶者の遺留分額は2000万円、各子の遺留分額は1000万円です。兄弟姉妹は相続人であっても遺留分を持たないため、兄弟姉妹のみが相続人の場合は、遺言で全財産を他人に譲ることも可能です。

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遺留分を侵害する遺贈や贈与があった場合に、侵害された金額を金銭で請求できる権利を遺留分侵害額請求権といいます。2019年の民法改正前は、物権的効力を持つ「遺留分減殺請求」として、目的物そのものを取り戻す制度でしたが、改正後は金銭債権として整理されました。これにより、不動産の共有関係が生じるといった複雑化を避けられるようになりました。請求方法に特段の形式はなく、口頭でも可能ですが、時効中断と証拠保全の観点から、内容証明郵便による請求が実務の標準です。

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遺留分侵害額請求権は、遺留分権利者が相続の開始および遺留分を侵害する贈与または遺贈があったことを知った時から1年以内に行使しないと、時効により消滅します。また、相続開始から10年を経過した場合も、知っていたかどうかにかかわらず、除斥期間により権利が消滅します。1年の時効は非常に短く、遺言書の内容を確認した段階で早急に判断する必要があります。具体的な金額の交渉がまとまらなくても、まず「遺留分侵害額を請求する」旨の意思表示を内容証明郵便で送付しておくことで、権利を保全できます。

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相続開始前(被相続人の生前)に遺留分を放棄するには、家庭裁判所の許可を得る必要があります。許可を得ずに当事者間で放棄する旨の合意をしても、法的効力はありません。家庭裁判所は、放棄が放棄者の自由意思に基づいているか、放棄の合理性があるか(代償が支払われているかなど)、遺留分を放棄する必要性があるかを審査します。事業承継のために後継者以外の相続人に遺留分を放棄してもらうケースなどで利用されます。

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遺留分算定の基礎となる財産には、相続開始時の遺産に加えて、一定の生前贈与が算入されます。相続人以外への贈与は、相続開始前1年以内のものが算入されますが、当事者双方が遺留分権利者に損害を与えることを知っていた場合は、1年より前のものも算入されます。相続人への特別受益に該当する贈与は、相続開始前10年以内のものが算入されます。この10年ルールは2019年の民法改正で明確化されたもので、現在は10年という一応の線引きがあります。

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内容証明郵便などで遺留分侵害額請求を受けた場合、まずは遺言書の内容・遺産の評価額・請求者の遺留分を正確に計算し、請求額が妥当かを確認します。遺留分算定の基礎財産には生前贈与の持ち戻しや特別受益の検討など、専門的な判断が必要な論点が多く、請求額のまま応じるとは限りません。評価額の相違や特別受益の主張などで、請求額を減額できる場合もあります。話し合いで解決しない場合は、家庭裁判所に調停を申し立てて、中立的な場で交渉を進めます。

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いいえ、遺留分を侵害する内容の遺言であっても、遺言そのものは有効です。遺留分を侵害された相続人は、遺留分侵害額請求権を行使することで侵害額相当の金銭を取り戻すことができるだけで、遺言の効力自体は維持されます。したがって、請求権を行使しなければ、遺言どおりの分配が確定します。遺言を作成する側としては、遺留分を無視した内容にすると相続発生後に必ず紛争の火種になるため、特別な意図がない限り、遺留分を配慮した設計が望ましいです。

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